【開催報告】「日本文学と中国の文化―宮沢賢治と西遊記」(2016.4.15)共催講座の開催報告記事を掲載しました2016/05/09

「日本文学と中国の文化――宮沢賢治と西遊記」共催講座の開催報告

・日 時: 2016年4月15日(金) 20時~22時
・場 所: 日中友好会館後楽寮内
公益財団法人日中友好会館所管の学際的総合研究の一環となるセミナー「後楽講堂」と本研究所の王敏研究室との共催により、標記の共催講座を開催した。

100話からなる『西遊記』が江戸時代後期にはすでに庶民の間にブームが起きていたとされる。日本には『西遊記』を翻案したり研究したりする文学者や研究者も多く、宮沢賢治氏もその影響を受けた一人だった。
子供時代から『西遊記』を愛読していた宮沢賢治は、「申年」の1896年生まれということから脳裏に「サル」との共存を想像した部分があったようで、孫悟空を代表とする『西遊記』に親近感を持ち、作品には「悟空」、「師父」、「西天」などの西遊記を想起させてくれる言葉やエピソードが数多く登場した。しかし、日本人に受け入れられた『西遊記』は、中国語の原著と全く同じわけではない。そのキャラクターや物語は、日本人が中国語の原著に基づいて自国の文化や感性を加えた混成文化を反映している。このようにアレンジされた日本人の目の中の『西遊記』こそ、日本で長く歓迎されているとものだといえよう。

『西遊記』ブームは今も続いている。それを土台に改編したドラマや映画、ゲームなどは年齢問わず日本で広く歓迎されており、毎年5月5日の「子供の日」に、5歳から7歳の子たちが孫悟空の服装をして、慈恩寺(埼玉市)の玄奘祭に参加するのはその一例である。

【記事執筆:王敏(法政大学国際日本学研究所専任所員、教授)】

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参加者の集合写真

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