専任所員ご挨拶

所員からのメッセージ
「日本を超えて、日本を捉える」

髙田圭准教授・専任所員

2020年に法政大学・国際日本学研究所(HIJAS)に着任いたしました。専門は社会学・日本研究で、特に社会運動やトランスナショナルな現象が日本社会の構造・文化変動にもたらす影響に関心を持っています。これまで長らく日本、北米、欧州、アジアを行き来しながら、日本を多角的に捉える視座を養ってきました。

国際日本学研究所に着任してからは、「トランスナショナルな日本研究(Transnational Japanese Studies)」と題した研究プロジェクトを進めています。本プロジェクトは、第一に、国境や境界を超える視座から日本の政治的・社会的・文化的な現象を捉えていく試みです。日本の国境や境界を超える様々な現象(人・モノ・思想・文化など)、またそれへの抗いや摩擦を考察することで、従来の一国的、静的な日本研究では見えてこなかった新たな日本像を浮かび上がらせていくことを目指しています。

他方「トランスナショナルな日本研究」は、実践的な面もともないます。近年、研究者自身が国境を越えて移動する機会も格段に増えてきました。本プロジェクトでは、「ウチ」と「ソト」の視点を使い分けながら、日本と他国との差異や同質性を捉える鋭い感性を持ったトランスナショナルな研究者の視座を積極的に取り入れていきます。また、そうした世界各地のトランスナショナルな日本研究者と連携しながら、国境を超えた研究ネットワークを構築し、新たな日本研究の文化を育んでいく試みを進めています。

こうした「トランスナショナルな日本研究」は、日本語と英語(時にその他の言語を交えながら)を用い、HIJASの様々な活動を通じて実践されています。例えば、毎年、アルザス欧州日本学研究所とフランスのコルマールで共同開催している「アルザス・新世代ワークショップ」、法政大学・市ヶ谷キャンパスでおこなわれる「トランスナショナルな日本」研究会、また研究所発行のジャーナル『国際日本学』など開かれた研究交流や報告の場を設けています。

髙田 圭
法政大学国際日本学研究所
准教授・専任所員