センター長ご挨拶
国際日本学研究センターは、本学のプログラム「日本発信の国際日本学の構築」が文部科学省21 世紀COE事業に採択されたことを機縁として2002年度に設立されました。本研究センターは、このプログラムの実質的な推進母体である、国際日本学研究所、野上記念能楽研究所、沖縄文化研究所、大学院国際日本学インスティテュートという四つの研究・教育機関の連携をはかりながら、21世紀COE事業全体を統括してきました。
21世紀COEプログラムは2006年度をもって終了しましたが、2007年11月に公表された事後評価においては、明確な方法論的な意識のもとでの、「国際日本学」という「新しい学問領域の創成に向けた新しい取り組み」には強い期待が寄せられていますし、「世界のなかの能楽」、「国際沖縄学」、そして「対日本観、対中国観の変遷」などの研究成果についても高い評価が与えられています。野上記念能楽研究所、沖縄文化研究所も、「国際日本学」という新しい枠組みのなかでこそ、これまでの研究実績を基礎としつつ、新しい局面を切り拓くことができたと思われます。また、日本とヨーロッパ、日本と中国の研究者による日本文化についての共同研究は、国際的かつ学際的な共同研究のひとつのモデルを提示しつつあるものと言ってよいと思われますが、そうしたなかで、海外の研究者、海外の大学・研究機関とのネットワーク、外国の大使館の文化担当者とのネットワークもきわめて有効に機能しています。
非西洋国でいち早く近代化を果たし驚異的な経済的成功をおさめた日本というのとは違った観点からですが、今日海外から日本文化に熱い眼差しが向けられ、海外における大学生の日本語学習熱もいつにない高まりを見せています。また、グローバル化の時代だからこそ、国際社会で活躍するにあたっては、足もとの日本文化についての深い知識と、それを外国人に的確に発信する人材の育成が求められています。「国際日本学」という構想は、そのような時代の動向と要請を先取りするものであったと言うことができます。
「国際日本学」の構築に向けての取り組みを継続しつつ、開かれた日本文化研究を担う内外の次世代研究者を育成していくことが、今後も求められていますが、国際日本学研究センターは、新しい学問領域の創成に向けた共同プロジェクトを推進するセンターとして、また、国際的な研究・教育拠点として、さらに、国際的なネットワークのセンターとして、これまで以上に重要な役割を担っていくことになります。皆様の熱いご支援を切にお願い申し上げます。
国際日本学研究センター長
福田 好朗