【参加報告】 ヨーゼフ・クライナー氏 「第4回人間文化研究機構日本研究国際賞」授賞式・記念講演(2023年1月20日)2023/03/07
【参加報告】ヨーゼフ・クライナー氏「第4回人間文化研究機構日本研究国際賞」授賞式・記念講演
■日 時:令和5年1月20日(金)15時00分~16時40分
・授賞式:15時00分~15時30分
・記念講演:15時40分~16時40分
『いくつもの日本民族文化-日本民族学の二十世紀-』
■会 場:日本学士院(Zoomウェビナーによるオンライン配信併用)
去る1月20日に本研究所客員所員、ヨーゼフ・クライナー氏の「第4回日本研究国際賞」受賞を祝う式典が、日本学士院にて開催されました。日本研究国際賞(NIHU International Prize in Japanese Studies)は、大学共同利用機関法人・人間文化研究機構が、海外を拠点として「日本に関する文学、言語、歴史、民俗、民族、環境などの人間文化研究において学術上とくに優れた成果を上げ、日本研究の国際的発展に多大な貢献をした」研究者に対して贈る学術賞です。クライナー氏は、同賞創設以来4人目、民族学(文化人類学)・民俗学の専門家としては初の受賞者となりました。選考委員会の受賞理由によれば、クライナー氏が、日本文化の単一性に異を唱え、沖縄・アイヌ文化の綿密なフィールドワークに基づいた研究成果をドイツ語、英語、日本語で発表されてきたことが大きく評価されました。
授賞式では、人間文化研究機構長の木部暢子氏による賞状授与が行なわれ、クライナー氏へのインタビューなどを通じて親交のある文化人類学者の中生勝美氏(桜美林大学教授)などからその功績を讃える温かい祝辞が贈られました。その後、受賞者のクライナー氏による「いくつもの日本民族文化-日本民族学の二十世紀-」と題する記念講演が行なわれ、ご自身の研究の軌跡と重ね合わせながら日本民族学史の展開について述べられました。坪井正五郎、鳥居龍蔵、柳田國男、岡正雄、梅棹忠夫らによる仕事を紹介しながら、これまでのクライナー氏の研究の中心的な議論である日本民族文化の複数性について論じることが中心的なテーマでしたが、そうした日本民族学の発展の中に、少なからず、オーストリア・ドイツの日本研究者と日本の民族学者との交流があったことをご自身のウィーン大学民族学研究所日本学科での日本の民族学者たちとの出会いなどを含めてお話をされていたことがとても印象的でした。また、法政大学国際日本学研究所の所員として長らく従事されてきた在欧の日本仏教美術館コレクションの研究についても触れられ、クライナー氏の日本研究への多大な貢献を確認するとともに、学術研究の発展にとってトランスナショナルなつながりの重要性を改めて気づかせてくれる有意義な講演、記念式典でした。
こうした民族学への直接的な貢献以外にも、クライナー氏は、ヨーロッパ日本研究協会(EAJS)やドイツ日本研究所(DIJ)の設立、運営に中心的に携わり、欧州の日本研究の発展、拡大に寄与されてきました。式典には、クライナー氏と親交の深い多彩な方々が参列され、式典の後に開かれた受賞記念パーティでは、そうした参加者からクライナー氏へのお祝いの言葉が贈られました。本研究所との関わりについても、「国際日本学」の確立から仏教美術研究プロジェクトにいたるまで共同研究を行ってきた小口雅史氏から、HIJASとのこれまでの交流について微笑ましいエピソードを含めて紹介されました。改めまして、クライナー氏の「日本研究国際賞」のご受賞、心よりお祝いを申し上げます。
髙田 圭(法政大学国際日本学研究所 専任所員)
クライナー氏 木部暢子氏(人間文化研究機構長) |
祝辞を述べる |
記念講演 クライナー氏 |
受賞記念パーティーで挨拶をする |
◆「人間文化研究機構日本研究国際賞」(NIHU International Prize in Japanese Studies)について
▶https://www.nihu.jp/ja/international/international_prize