学術フロンティア推進事業『異文化研究としての「日本学」』

私立大学学術研究高度化推進事業(学術フロンティア部門)
『異文化研究としての「日本学」』
平成19年度~平成21年度(2007年度~2009年度)  研究代表者:安孫子信

「私立大学学術研究高度化推進事業」は、文部科学省が我が国高等教育機関の大部分を占める私立大学等における研究基盤の整備および研究機能の高度化を図るため、重点的かつ総合的な支援を行う事業である。そのひとつである「学術フロンティア推進事業」は、私立大学の大学院・研究所の中から、優れた研究実績を上げ、将来の研究発展が期待される卓越した組織を「学術フロンティア推進拠点」に選定し、研究施設、研究装置・設備、研究費、研究スタッフについて、総合的かつ重点的に支援するものである。

本プロジェクト『異文化研究としての「日本学」』は、平成19年度に「私立大学学術研究高度化推進事業(学術フロンティア部門)」に採択された。

1.研究組織について

*所属等は2010年3月時点のもの

サブ・プロジェクト① (2008年3月まで) 責任者:星野 勉(法政大学国際日本学研究所長)
安孫子信(法政大学文学部教授)
相良匡俊(法政大学社会学部教授)
サブ・プロジェクト① (2008年4月から) 責任者:安孫子信(法政大学国際日本学研究所長)
星野 勉(法政大学文学部教授)
相良匡俊(法政大学社会学部教授)
市村弘正(法政大学法学部教授)
ジリア・パップ(法政大学グローバル教育学部准教授)
ジョセフ・キブルツ(フランス国立科学研究センター教授)
川田順造(神奈川大学日本常民文化研究所客員所員)
サブ・プロジェクト② 責任者:王敏(法政大学国際日本学研究所教授)
勝又 浩(法政大学文学部教授)
田中優子(法政大学社会学部教授)
スティーヴン・ネルソン(法政大学文学部教授)
小林ふみ子(法政大学キャリアデザイン学部准教授)
山中玲子(野上記念法政大学能楽研究所教授)
サブ・プロジェクト③ 責任者:ヨーゼフ・クライナー(法政大学特任教授)
間宮厚司(法政大学文学部教授)
吉成直樹(法政大学沖縄文化研究所教授)
福 寛美(法政大学沖縄文化研究所所員)
ローザ・カーロリ(ベネチア大学東アジア研究所教授)
小口雅史(法政大学文学部教授)
電子図書館担当 責任者:小口雅史(法政大学文学部教授)
田中優子(法政大学社会学部教授)

2.研究の概要について

(1)研究プロジェクト全体の概要

『異文化研究としての「日本学」』という基本コンセプトのもとに、研究目的として次の三点を揚げた。

●外国の日本学研究者(=他者)の視点を取り入れて、日本文化を<異文化>視するという、研究姿勢、方法論にかかわる。これは内向きの閉鎖的な研究姿勢と希薄な方法意識という、わが国の人文科学研究の旧弊を打破し、従来の日本研究を「国際日本学」と化すことによって、国際的・学際的な共同研究のあるべきモデルを提示することを目指した。

●<異文化>という観点から日本文化を再発見、再発掘し、日本文化研究に内容的にも新局面を切り拓くということであった。日本文化は中国、朝鮮などのアジア地域、さらに欧米を含む世界の様々な地域の<異文化>の影響下に形成された混成文化であるが、アジア、世界へと越境するところに日本文化の特性を探り当てることを目指した。また、南北の境界領域(琉球・沖縄、東北・北海道)に目を向けることによって、日本文化が均一で同質的な「ひとつの文化」ではなく、多元的な<異文化>起源と多重な構造を有する、「いくつもの文化」であることを解明することも目指した。

●これまで築き上げてきた国際的・学際的な日本学の共同研究の実績の上に、内外に張りめぐらされたネットワークを有効に活用しながら、このネットワークをさらに拡大し発展させること、また、大学院国際日本学インスティテュートとも緊密に連携し、最新で最先端の研究成果を大学院教育に生かすと同時に、若手研究者の養成をはかることを目指した。

(2)サブ・プロジェクトの概要

『異文化研究としての「日本学」』という基本コンセプトのもとで、より詳しく、より具体的に4つのサブ・プロジェクトを立ち上げて研究を遂行した。

サブ・プロジェクト①:異文化研究としての「国際日本学」の構築

わが国において「翻訳」を通じて異文化が受容されてきた事実に着目し、「翻訳」ということで生起している事態の解明を通じて、異なる「準拠枠(=意味コード)」間での文化理解や文化伝達の可能性を探ることを目指した。

サブ・プロジェクト②:異文化としての日本

比較文化の視点に着目することによって、日本文化を世界、とくに東アジアのなかに改めて位置づけ直すことを試みた。この比較文化の視点からアプローチすることによって、結果としては、日本文化の、とくにその混成的な素性を浮き彫りにしていくことを目指した。

サブ・プロジェクト③:日本の中の異文化

南の琉球諸島、北の東北・北海道という境界領域の文化に<異文化>の目を向けることによって、一で同質的な「ひとつの文化」という従来の日本文化理解に揺さぶりをかけ、その国境は完璧に閉じる力を持ってはおらず、国境あたりでは、多くのものに、多元的な<異文化>的起源と多重で重層的な構造が確認される、ということが示された。日本文化が多様で重層的であることを、外からというのではなくて、内から明らかにした。

サブ・プロジェクト④:電子図書館システムの構築

上記3つのサブ・プロジェクトを支える研究や研究者情報の共有化のためのデータベースの整備、構築した。

3.研究成果の概要について

おもなシンポジウム・研究会等の開催報告
2007年度
2008年度
2009年度

おもな刊行物(叢書・書籍等)

サブ・プロジェクト① 叢書10『翻訳の不可能性』 *2007年アルザス・シンポジウム報告
叢書12『日本文化の中の天皇―天皇とは?』 *2008年アルザス・シンポジウム報告
叢書13『人体と身体性』 *2009年アルザス・シンポジウム報告
サブ・プロジェクト② 叢書 9『中国人の日本研究―相互理解のための思索と実践―』
叢書11『異文化としての日本―内外の視点―』
『日中文化の交差点』  *三和書籍(2008年4月)
『中国人の日本観』   *三和書籍(2009年8月)
『東アジアの日本観』  *三和書籍(2010年10月)
サブ・プロジェクト③ 『小シーボルトと日本の考古・民族学の黎明』 *同成社(2011年1月)
『日本民族の源流を探る:柳田國男『後狩詞記』再校』 *三弥井書店(2012年8月)
「柳田國男『後狩詞記』出版百周年記念シンポジウム」(2009年6月5日)報告
▶シンポジウム開催報告はこちら
サブ・プロジェクト④ ・関係論文:
田口昌弘・小口雅史「『在ベルリン吐魯番出土漢文世俗文書総合目録』のその後-FileMakerによるDatabeseのWeb公開の一例として」漢字文献情報処理研究8号(2007年)