【開催報告】〈日中「混成文化」の現代的価値を考える〉講座(2019.9.19)2019/09/30
日 時: 2019年9月19日(木)14:00-16:30
場 所: 法政大学国際日本学研究所研究所会議室6
講 師: 譚艶紅(中国・華僑大学助教授、法政大学外国人客員研究員)
題 目: 夏目漱石の漢詩について――植物描写の中日比較研究
主 催: 法政大学国際日本学研究所王敏研究室
司 会: 王敏(法政大学国際日本学研究所専任所員、教授)
【講座内容】
夏目漱石が中国文学への造詣もあり漢字の才をみせて漢詩をみずから詠み、その数は200句以上といわれる。最期のわずか三カ月においては、心血を絞って75句にのぼる。最晩年の漢詩をみると、植物に情念を託したものが目立つ。そこで「芭蕉」「苔」、この2種類に即して、比較的手法で考証した。
例えば、「芭蕉」の描写については、宋代詩人賀鋳の『菩薩蛮』等を比較の素材にしたと解読し、「苔」については李白の『長干行』等を引き、照り合わせながら解説した。
洋才の洗礼を受けた漱石の漢詩とのかかわりはどうだったのか、西洋と東洋の狭間で苦悩した漱石像を探求しようとした卓論である。また、自作の漢詩に生きざまが如実に表れているところを深く掘り下げた比較研究の報告である。
(右から2番目が譚艶紅氏)
【記事執筆:王敏(法政大学国際日本学研究所専任所員、教授)】