【開催案内】国際日本学研究所公開研究会ー新しい「国際日本学」を目指して(1) 「17・18世紀カンボジアから日本への友好の書簡」(2018年7月11日)2018/05/30

法政大学国際日本学研究所公開研究会 
新しい「国際日本学」を目指して(1)

17・18世紀カンボジアから日本への友好の書簡
近藤重蔵編『外国関係書簡』より

私ども法政大学国際日本学研究所は、文部科学省21世紀COEプログラムに「日本発信の国際日本学の構築」が、文部科学省私立大学学術研究高度化推進事業(学術フロンティア推進事業)に「日本学の総合的研究」が同時に採択された2002年に設立されました。

これらのプログラムが終了した2007年からは、同じ学術フロンティア部門で、新プログラム「異文化研究としての日本学」が採択され、国際日本学の構築に引き続き取り組んできました。また文部科学省による新たな「私立大学戦略的研究基盤形成支援事業」(2010年度~2014年度)にも、「国際日本学の方法に基づく〈日本意識〉の再検討-〈日本意識〉の過去・現在・未来」が採択され、それらを中心に引き続き国際日本学確立のための研究活動を続けて参りました。

そうしたなかで、本研究所が初めて提唱した「国際日本学」という学問分野は国内外において一定の認知を得ることができたたと考えます。近年、日本研究において古い歴史を誇る国際日本文化研究センターが中心になって設立された「国際日本研究」コンソーシアムにも当初から参画し、様々な形での研究連携によって新たな展開を目指すことも可能になってきました。

それらを踏まえて、本研究所では「国際日本学」研究を次の段階に進めるべく、新たな研究対象・分野・素材・人材などの開拓に乗り出すこととしました。当面、試行錯誤が続くと思いますが、一歩でも先へ進めることができればと考えています。

そうした企画の第一弾として、本学文学部史学科准教授・本研究所兼担所員北川香子氏による「17・18世紀カンボジアから日本への友好の書簡-近藤重蔵編『外国関係書簡』より-」を開催いたします。

江戸時代の日本にとって,カンボジアは主要な通交先の1つであったことは周知の事実でありますが、カンボジアと日本との間の書簡類を、後の蝦夷地探検で著名な近藤重蔵が、きわめて正確に書写していたことは知られていませんでした。この事実は、先年、東京大学史料編纂所の第36回史料展覧会「東アジアと日本世界と日本」において展示された近藤重蔵関係資料「外国関係書簡」(史料編纂所蔵)によって北川准教授が初めて見いだしたものです。

近藤重蔵がこの書簡を筆写した時期は、彼が聖堂を成績優秀で修了して長崎奉行手附出役になったばかりのころ。彼は短い在任中に『安南紀略藁』も執筆しており、後の北方世界への興味と合わせて考えてみると、異国とか異文化に若いころから興味があったのでしょうか。

それにしてもなぜ近藤重蔵がこの書簡を書写したのか、しかもクメール語を解さないはずの近藤がきわめて正確に! この事実を単なる彼の異国趣味だけで説明できるのかどうか、興味は尽きません。

さらに書写の対象となった書簡は、30年くらい前のもの。どこに保管されていたのかも興味がわきます。さらに一連の書簡には、クメール文と漢文のものとがあって、外交文書であるにもかかわらず、両者の内容が完全に一致しない点も注目されます。両者は同等の価値を持っていたのでしょうか? 重要な通交先であることからクメール文を解する人間はそれなりに日本にいたのでしょうが、幕府内では?などなど。

北川准教授は、他の言語も含めた、この時代の様々な書簡を現在研究中であり、またインドから東南アジアについては、田中優子総長が、かつてその著『きもの草子』において、絣・更紗・花織といった布の交流をも紹介していますから、それらを含めて総体として今後、日本と東南アジアの交流史の新たな解明が期待されます。

ぜひ今回から始まる新企画に、多数の方が参加されることを期待しております。

【小口 雅史(法政大学国際日本学研究所所長、文学部教授)】

 


▲チラシ
(クリックするとPDFデータをご覧いただけます)

 

■日時   2018年7月11日(水)18:40~21:00

■会場   法政大学九段校舎3階 第1会議室

■交通   飯田橋駅,市ヶ谷駅より徒歩10分
【キャンパス・交通案内】 http://www.hosei.ac.jp/access/ichigaya.html

■報告者
北川 香子(法政大学国際日本学研究所所員・文学部准教授)

■司会
小口 雅史(法政大学国際日本学研究所所長・文学部教授)

■参加費  無料(どなたでも参加可能です)

■事前申込
電子メールまたはお電話で事前に参加の申込みをお願いいたします。
電子メールの場合、氏名、所属、電話番号、電子メールアドレスを明記の上、
法政大学国際日本学研究所までご連絡ください。
お送りいただきました個人情報は、参加申込受付以外の目的には使用いたしません。
申込先:nihon@hosei.ac.jp

■お問合せ先
法政大学国際日本学研究所事務室
E-mail:nihon@hosei.ac.jp
TEL :03-3264-9682

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