【開催案内】平成27-29年度科学研究費 第5回研究会(2017.2.24)のお知らせ2017/02/06

平成27-29年度科学研究費助成事業(若手研究(B))「戦前の民間組織による対外的情報発信とその影響:英語版『東洋経済新報』を例として」第5回研究会

「パブリック・ディプロマシーの観点からみた新渡戸稲造」

20170206

▲ポスター(クリックすると大きくなります。)

■開催日時
2017年2月24日(金)、18時30分から20時30分

■会場
法政大学九段校舎別館3階研究所会議室6

■報告者
上品和馬(早稲田大学)

■論題
「パブリック・ディプロマシーの観点からみた新渡戸稲造」

■報告要旨
新渡戸稲造(1862〜1933)は、明治・大正・昭和期に、教育、植民政策、宗教、農政学、国際関係などの分野において活躍した自由主義者・国際主義者として知られている。一方、それらの活動と平行して、両大戦間期の激動する時代に、日本政府の立場に寄り添いつつそれを先導する形で、講演、新聞・雑誌への寄稿、英文著書出版、他国の要人との個人的交流・恊働などの方法によって欧米の対日世論形成に影響を与えるという、現代のパブリック・ディプロマシー(Public Diplomacy:以下、PD。邦訳は「広報外交」)に相当する活動を行った。

彼は1862年に岩手県盛岡市に生まれ、1877年に札幌農学校で農学を修め、この時期にキリスト者となった。1883年には上京して東京帝国大学に入学し、農業経済学、統計学、英文学などを学んだが、翌年、「太平洋の橋になり度と思ひ」、私費でアメリカに留学し、ジョンズ・ホプキンズ大学で経営学・財政学・経済学史などを学び、さらに、公費でドイツのボン大学、ベルリン大学、ハレ大学といった諸大学で、農政学、農業経済学、財政学、統計学、農業史などを学び、1891年に帰国した。帰国後は、札幌農学校教授、台湾総督府技師、京都帝国大学教授を経て、1906年から1913年にかけては、第一高等学校校長として学生に深い人格的影響を与えた。1914年には東京帝国大学教授となり植民政策講座を担当、1918年には東京女子大学初代学長となった。さらに、1919年から1926年にかけては国際連盟事務次長兼情報部長をつとめ、ジュネーブを拠点に国際的な活動を展開し、1927年の帰国後も、貴族院議員、東京女子大学名誉学長、太平問題調査会(The Institute of Pacific Relations:以下、IPR)日本支部理事長、英文大阪毎日編集顧問などをつとめた。

以上のように、新渡戸は多様な活動を展開したが、それらの中から本発表においては、①彼のPDの全体像に触れつつも、とりわけ②国際連盟(League of Nations)と③IPRにおける活動を中心に取り上げ、それをPDの観点から検討する。新渡戸が、第1次世界大戦後の平和主義・自由主義の思潮の高揚、アメリカにおける日本人移民問題の深刻化、日本の既得権益の維持といった情勢をどう受けとめ、どのような活動を行ったのかを検討することで、国際連盟とIPRを舞台とした彼のPDの①目的、②方法、③それに対する評価・成果、④特質、⑤今日的な意義を明らかにしたい。

■司会
鈴村裕輔(法政大学)

■参加費
無料

■主催
平成27-29年度科学研究費助成事業(若手研究(B))「戦前の民間組織による対外的情報発信とその影響:英語版『東洋経済新報』を例として」[研究課題番号:15K16987]

■後援
法政大学国際日本学研究所

■参加申込先
yusuke.suzumura.65@hosei.ac.jp(鈴村裕輔)

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