【開催報告】第4回ヨーゼフ・クライナー博士記念法政大学国際日本学賞授賞式・記念講演会(2019.2.4)2019/02/08

日時:2019年2月4日(月) 16:00~17:50

場所:法政大学市ヶ谷キャンパス 九段校舎3階 第一会議室

司会:小口雅史(法政大学国際日本学研究所所長、文学部教授)

【開催報告】

2018年2月4日(月)、16時から17時50分まで法政大学市ヶ谷キャンパス 九段校舎3階 第一会議室において、第4回ヨーゼフ・クライナー博士記念法政大学国際日本学賞の授賞式と記念講演会が行われた。

本賞はヨーロッパを代表する日本研究者であり、法政大学国際日本学研究所(HIJAS)の設立以来、その発展に貢献してきたヨーゼフ・クライナー博士の功績を称え、若手の海外日本研究者の活動を奨励する目的でHIJASが2014年に創設したものである。第4回となる今回は、厳正な審査の結果、2018年10月にデンニッツァ・ガブラコヴァ氏(ヴィクトリア大学ウェリントン)への授賞が決定した。

小口雅史HIJAS所長の総合司会で行われた授賞式では、ガブラコヴァ氏に対し、田中優子法政大学総長より正賞の賞状と副賞が授与された。また、尾川浩一学術支援本部担当常務理事が祝辞を述べるとともに、小口所長がヨーゼフ・クライナー博士の祝辞を代読し、ガブラコヴァ氏の功績を称えた。

その後の記念講演会では、受賞記念講演としてガブラコヴァ氏が受賞作品The Unanmable Archipelago: Reading the Wounds of the Postcolonial in Postwar Japanese Literature and Thought (Brill, 2018)に基づく講演「現代史の漂流物」を行った。

講演では、グラフィックデザイナーの戸田ツトムが著書『断層図鑑』(北宋社、1986年)で示した「コラージュは断片の集積」という考えを手掛かりに、受賞作品で取り上げた有吉佐和子(『ぷえると・りこ日記』、『海暗』)、大庭みな子(『ふなくい虫』)、日野啓三(『夢の島』)、多和田葉子(『アルファベットの傷口』)、池澤夏樹(『マシアス・ギリの失脚』)、島田雅彦(『エトロフの恋』)らにおける「島」や「群島」の概念が検討された。また、写真家の東松照明やトルコの作家オルハン・パムク、文化人類学者で批評家の今福龍太らの作品を参照しつつ、受賞作品が成立する背景も紹介された。

会場では来場者がガブラコヴァ氏の講演に熱心に耳を傾け、講演会は盛況のうちに散会となった。

なお、HIJASでは2019年7月31日(水)まで第5回目の募集を行っている。45歳以下の日本国外の研究機関などを拠点とする日本研究者が対象となっており、より多くの研究者の応募が期待される。

【記事執筆:鈴村裕輔(法政大学国際日本学研究所客員学術研究員)】

(デンニッツァ・ガブラコヴァ氏)

(左より小口雅史所長、デンニッツァ・ガブラコヴァ氏、田中優子総長)

(会場の様子)

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