第3回東アジア文化研究会『韓国語における中国語からの借用語と日本語の語彙の影響』(2012.6.27)

「国際日本学の方法に基づく〈日本意識〉の再検討−〈日本意識〉の過去・現在・未来」
研究アプローチ(3)「〈日本意識〉の現在−東アジアから」
2012年度 第3回東アジア文化研究会

韓国語における中国語からの借用語と日本語の語彙の影響

日 時: 2012年6月27日(水)18時30分〜21時15分
場 所: 法政大学市ヶ谷キャンパス58年館2階 国際日本学研究所セミナー室
講 師: オリヴィエ バイルブル (北京大学中国語学科博士研究員)
通 訳: 王 雪萍 (東京大学教養学部講師)
司 会: 王 敏 (法政大学国際日本学研究所専任所員、教授)

左より:王 雪萍氏(通訳)、オリヴィエ バイルブル氏

左より:王 雪萍氏(通訳)、オリヴィエ バイルブル氏

韓国語の語彙は、徐々に韓国語の必須の構成要素となった、様々な外来の要素によって特徴付けられている。数世紀にわたり、韓国は政治的にも文化的にも中国の文化的な影響下にあった。その結果、このような「外来語」の第一波はほとんど中国語であり、中国語の文字の使用によって現実化された。韓国語は独自の文字体系を欠いていたため、これらの文字は実際に韓国語の音韻を現すために用いられた。中国語は韓国語の語彙を豊かにすることを可能にし、従来韓国語が欠いていた多数の新しい言葉を韓国語にもたらした。やがて19世紀を通して、明治時代の日本語は、後に韓国と中国が借用することになる多数の新しい術語を作り出した。借用の第二段階は、米国が朝鮮戦争(1950-53年)に国連軍側として介入した1950年代半ばに起きた。本発表の前半では、漢四郡時代から1960年代に北朝鮮の金日成による言語浄化政策までの、朝鮮半島における中国語の借用に関する主要な段階を検討する。後半では、現代の韓国語の中で、中国語起源の言葉がいかにして発展したかを理解することを可能にする中国の韓国語を共時的に分析する。語彙の分析、とりわけ対象となる地域での借用語の研究は、日本文化の影響と同様に、中国文化の影響の本質を観察することを可能にするのである。
新しい言葉を借用あるいは創造する環境に影響した事実を一言で述べるなら、社会の変化となる。科学と技術の発達、内的・外的な文化の交流、公共文化の発達は、社会の変化に通じる第一の要因である。科学の発達は特殊な術語を作り出し、他の文明は、この文明を暗示する新しい術語を作る文化的な交流を通してもたらされるのである。今日、最も強い要因は公共文化の発達である。かつて、公共文化はジャーナリズムやマスメディアを通して広まった。しかしながら、最近では、多様なコミュニケーションへと通じる公共文化の生産者と消費者の間の境界を取り除くために、即席の言葉が作られ、広められていることに気付くのは容易である。韓国語学堂(KLI)は、『標準国語大辞典』に収められている、19世紀から現在までの韓国語の新語の調査を1994年に開始した。その後、調査は数段階を経ている。1994年と1995年の段階では、KLIは、意味や形態学的な構造を分析せず、新語の標本と語源を調査するだけであった。計画を一時中断した後、『標準国語大辞典』の出版後の2000年に調査を再開した。2005年には、2005年に生まれた新語を抽出して調べる作業を行った。その結果、報告書への記載が予想されていなかった言葉は除外されることになり、KLIは新語の用法を研究せず、それらの言葉を辞書プロジェクトチームに引き継いだのであった。それらの新語の中のいくつかはしばらくの間利用された後、消滅したか、他の言葉に取って代わられている。同じ期間に、KLIは、韓国語の語彙における英単語の影響を制限する目的で、「国語浄化」と呼ばれるプロジェクトを開始したのであった。

【記事執筆:オリヴィエ・バイルブル(北京大学中国語学科博士研究員)】

司会: 王 敏教授

司会: 王 敏教授

会場の様子

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