第2回全体会(2011.6.17)

文部科学省「国際共同に基づく日本研究推進事業」採択

法政大学国際日本学研究所「欧州の博物館等保管の日本仏教美術資料の悉皆調査とそれによる日本及び日本観の研究」プロジェクト

第2回全体会

日時  2011年6月17日(金) 13:00〜17:00

会場  法政大学市ヶ谷キャンパス58年館2階 国際日本学研究所セミナー室

 

 

左から:安孫子信所長・教授、プロジェクトリーダー ヨーゼフ・クライナー特別教授、シュタイネック・智恵特任所員、小口雅史教授、須藤弘敏教授(弘前大学)、高橋悠介氏(金沢文庫)、荒木志伸客員所員


文部科学省の「国際共同に基づく日本研究推進事業」に採択され、平成22—24年度にかけて行われる法政大学国際日本学研究所「欧州の博物館等保管の日本仏教美術資料の悉皆調査とそれによる日本及び日本観の研究」の第二回全体会議が行われた。
開催の挨拶を当研究所所長の安孫子信がつとめ、本研究プロジェクトのプロジェクトリーダーであるヨーゼフ・クライナーから現在までの進行状況について報告があった。その報告によると、新たにプロジェクトに関わる研究者の紹介が行われ、本年3月に行われた国立民族学博物館での国際シンポジウム「在外資料の調査研究—バルト海周辺地域の日本コレクション」で報告をおこない、国内外の研究者と意見交換をした。また、フランスのギメ美術館で行われたキブルツ氏の「お札」の特別展覧会にこのプロジェクトの代表として智恵シュタイネック氏が参加した。6月には九段校舎別館の三階に本プロジェクトの本部を設置し、研究体勢が充実してきていることを感じさせた。
続いて本プロジェクトの大きな目的であるヨーロッパの博物館との交渉状況の報告を、本学国際戦略機構特任所員のシュタイネック智恵が行った。
100館あまりの博物館に協力要請のための案内状を送り、その内すでに約3割の博物館から協力したいとの返信を受け取っている。たくさんの博物館に要請を出しているため、館によって対応の仕方が変わってくるが、各館の要望にあわせて柔軟に対応している。現段階で多忙のため辞退した館も若干あるが、新たに参加が決定した館もあり、欧州の博物館が、本プロジェクトによせる関心の高さがうかがえる。まだ返信のない館にたいしては、参加者が手分けをして個々に問い合わせることになった。
協力できる博物館から、仏教美術の収蔵品に関しての情報をいち早く把握できたものもある。その中で注目すべき作品を数点紹介した。ヨーロッパの博物館が所蔵する仏教美術作品は、未発表の作品が大半をしめており、今後より多くの収蔵品の情報が集まってくると、さらに新史料の発見への期待感が膨らむ。
続いて、報告書とデーターベースの作成という実務的な話題について本学教授小口雅史を司会に話し合いがもたれた。データーベース作成の大まかな手順を説明し、仏教美術をデーターベース化するために必要な細部項目について議論した。
最後に、欧州での仏教美術に関するシンポジウムの予定について話し合われた。そのシンポジウムの一環として、ポーランドのワルシャワ国立博物館において、ヨーロッパで仏教美術を研究・調査している学芸員や研究者を交えて、日本の第一線で活躍する学芸員・研究者が直接現地に赴き、仏教美術に対する関心を深めてもらうためのワークショップをおこなう計画である。
今後の欧州での所蔵品調査を実施する予定について話し合い、まだ見ぬ欧州の仏教美術作品に思いを巡らした。

【記事執筆:神野祐太(法政大学国際日本学研究センター客員研究員)