総括シンポジウム「古代末期の境界世界」(2009.11.14-15)

学術フロンティア「異文化研究としての〈日本学〉」
サブ・プロジェクト3日本の中の異文化
総括シンポジウム

「古代末期の境界世界
−石江遺跡群と城久遺跡群を中心として−」

■日時:2009年11月14日(土)12:30-19:00

          11月15日(日) 9:00-16:00

■会場:法政大学市ヶ谷キャンパス 58年館4F 844教室

■総合司会 : クライナー・ヨーゼフ(法政大学 特任教授)

■記念講演 : 村井章介(東京大学)

 

  研究会会場発表の様子(総括討論)        研究会場光景

文部科学省高度化推進事業・学術フロンティア・プロジェクト「異文化研究としての〈日本学〉」のサブ・プロジェクト3「日本の中の異文化」は、平成19年度以来、三年間にわたって、古代から中世にかける、8世紀から12,13世紀に至るまでの間、律令国家の北と南の周辺(国境)に起きた異民族文化との接触のあり方の比較研究に努めてきた。具体的に北辺の代表的な、また近年に注目を集めた発掘調査の例として青森県の石江遺跡群、就中新田(ニッタ)遺跡、またそれに対して南辺で奄美大島喜界島の城久(グスク)遺跡群を選んだ。それぞれ、地元の発掘担当者またその発掘成果の解釈に携わった研究者を、一回は自らの調査現場でも、一回は他の調査地に集まって、法政の研究者も合流し、討論していただいた。すでにこの段階で比較の観点の導入により、この両方の遺跡群の類似または相違点がうかびあがってきたようである。

今回の総括シンポジウムでは東京大学大学院人文社会系研究科教授、村井章介先生の記念講演「古代末期の北と南」で改めてこのプロジェクトの問題を定義していただいた後、各セッションの初頭に吉成直樹(南方研究グループ責任者)と小口雅史(北方研究グループ責任者)両法政大学教授に古代末期の南辺・北辺の世界事情を描写してもらった。それに引き続いて発掘担当者(城久については喜界町教育委員会の澄田直敏氏、新田については青森教育委員会の木村淳一氏)が、遺跡の特質を報告、何人かの先史・考古学、古代史や宗教・社会史の専門家が今までの行った分析の結果をまとめた。

最終の総括討論には特に石江遺跡群との関係で、そこに出土した祭記具(仏教ないしシャーマニズム関係か)や周辺の渤海(ボイイ)国との接触の可能性について論じられた。

城久遺跡との関係では朝鮮半島、九州−就中北部九州や大宰府−や南西諸島の他の島々との交流及び琉球王国の前史にまつわる諸問題が、会場の参加者の意見・質問も取り入れて熱心に討論されて、大きな成果を収めることができた。また、この総括シンポジウムの報告や討論並びにその準備段階でのいくつかの研究会で発表された貴重な論文も含めて、21年度内に一冊にまとめ、出版に向けて準備を進めております。

【記事報告: クライナー・ヨーゼフ(法政大学 特任教授】