第4回アルザスシンポジウムに向けての勉強会(2009.10.9)

2009年度アルザスシンポジウム(人体と身体性)に向けての第4回勉強会報告   

2009年11月1日-3日にフランスのアルザス・ヨーロッパ日本学研究所(CEEJA)で開催予定のシンポジウムに向けての第3回勉強会を開催しました。                                           

日時  10月9日(金)18:30〜20:30   

場所  法政大学市ケ谷キャンパス  58年館2階 国際日本学研究所セミナー室

報告者   ジリア・パップ (法政大学 グローバル教養学部助教

テーマ 「奇形の背後にあるもの−伝統的な現代の視覚メディアにおける妖怪図」

司会  安孫子 信(法政大学国際日本学研究所所長・文学部教授)

   

              ジリア・パップ先生                                        会場の様子

2009109日(金)1830分から2030分過ぎまで,法政大学国際日本学研究所セミナー室において,「2009年度アルザス・シンポジウム「人体と身体性」にむけての第4回勉強会」が開かれた.勉強会最終回の今回は新進気鋭の国際日本学者でメディア論のジリア・パップ氏から,「奇形の背後にあるもの—伝統的なまた現代の視覚メディアにおける妖怪図」というテーマで含蓄に富んだレクチャーをしていただいた.

平安・鎌倉・室町の「百鬼夜行」や物の怪図に始まり,江戸・明治の浮世絵・錦絵を経て,現代の「ゲゲゲの鬼太郎」にまで至る大変大きな流れを,視覚的な情報量も豊富にたどる講演は,それだけでも聞きごたえ,見ごたえ十分なものであったが,一貫して確認されていったのは,妖怪といった形での,身体の奇形表現は,背後に‘変化への恐怖’を隠し,かつそれを表しているということであった.その際、恐れられる‘変化’はそれ自身,老いや病といった身体の‘変化’でもありうるが,それはまた,自然の,歴史の,社会の‘変化’でもありえた.こうして,奇形は,そこに,自然現象・社会現象を問わず、万象の差異変化を吸収し吐き出しているのである.和⇔荒,御霊⇔怨霊,神⇔人,男⇔女,里⇔山,冬⇔夏,乾⇔湿,現世⇔他界,内⇔外,人⇔物といった,あらゆるカテゴリーに関わる差異変化の間(あわい)に,奇形は立ち表われている.そして,それは逆にいえば、人体というものが、不安の感情を介して万象とある特権的な関係にあるということも示すのである.

人体という存在の特殊性をまた別様に痛感させられた勉強会であった。

【記事執筆:安孫子 信(法政大学国際日本学研究所所長、文学部教授)】