柳田国男『後狩詞記』出版百周年記念シンポジウム(2009.6.5)

柳田国男『後狩詞記』出版百周年記念シンポジウム


  • 日 時: 2009年6月5日(金)1300分〜1830
  • 場 所:    法政大学市ケ谷キャンパス ボアソナード・タワー 26階A会議室
  • 司 会:   クライナー・ヨーゼフ (法政大学特任教授)
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ヨーゼフ・クライナー教授

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シンポジウムの様子

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報告者による総括討論

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『後狩詞記』の初版本も展示されました

法政大学国際日本学研究所は、去る6月5日(金)法政大学ボアソナード・タワーで「柳田国男『後狩詞記』出版100周年記念シンポジウム」を開催した。

柳田国男の膨大な仕事は、20世紀を通じて日本の思想史並びに文化史の研究に多大な影響をおよぼし、または、日本民俗学の設立、日本民族学・文化人類学の発展に大きく貢献した。

今からちょうど百年前、明治42(1909)年の春、柳田はその最初の業績になる著書『後狩詞記』を自費出版した。その中で、前の年明治41年柳田が農商務省法制局参事官(宮内省書記官兼任)として九州視察旅行の合間をぬって九州山地を歩いて見聞したこと、なかんずく椎葉村の狩猟文化や焼畑農業についての地元のインフォマントから得た資料をまとめて、彼の日本文化論の基盤として発表した。後の『遠野物語』ほどには一般に知名度は高くならなかったが、柳田自身が後の著作・論文で幾度もそれにふれ、『後狩詞記』こそはまさに日本民俗学の出発点と見るべきと強調しているところである。

この本が「市ヶ谷」(序文)で発行されたことから百年にちなんで、民族学・文化人類学の長い伝統のある法政大学は、全国の柳田研究ないし椎葉村の実地調査を重ねた著名な先生方のご協力を得て、シンポジウムを開催した。ちなみに、法政大学図書館はこのシンポジウムをきっかけに柳田の直筆の署名が入った初版本一冊を購入し、準貴重本として所蔵している。シンポジウムの間はこれが他の関係資料とともにロビーに展示された。

シンポジウムは大きな反響を頂き、60名以上の関係者が来場し、なかには柳田のご子孫及び、民族学設立の岡正雄のご長男もいらした。

プログラムは以下の通りである。

プ ロ グ ラ ム

13:00〜13:10  開会/挨拶    法政大学国際日本学研究所所長 安孫子 信

13:10〜13:40  クライナー・ヨーゼフ(法政大学特任教授)

           「柳田国男の日本『後狩詞記』・『遠野物語』から『海南小記』や『海上の道』にいたる

13:40〜14:20  野本寛一(近畿大学名誉教授) 

           「『後狩詞記』のムラから学ぶ」

14:20〜15:00  佐々木髙明(国立民族学博物館名誉教授)

           「焼畑農民の狩猟ー今も焼畑とイノシシ狩の行わるる 台湾山地民との比較からー」

15:00〜15:20              休憩                               

15:20〜16:00  原田信男(国士舘大学21世紀アジア学部教授)

           「シシ肉の文化─供犠と食用

16:00〜16:40  川野和昭(黎明館学芸課長)

           「焼畑と竹と黒(赤)米と里芋と ─ラオス北部からの逆照射─」

16:40〜17:30  総括討論

17:30〜18:30  姫田忠義(民族文化映像研究所所長)

           「柳田国男の風景」(NHKふるさと歴史紀行) 【解説15分】

 

なお、シンポジウムの討論は報告者の編集責任で、国際日本学研究叢書の一冊として刊行する予定である。

【記事執筆:クライナー・ヨーゼフ(法政大学特任教授)】