【開催報告】国際日本学研究所 王敏研究室主催「平和の実践」ワークショップ(2018.6.16)2018/07/06

法政大学国際日本学研究所 王敏研究室主催

「平和の実践」ワークショップ 開催報告

■日時  2018年6月16日(土)

■会場  法政大学市ヶ谷キャンパス ボアソナード・タワー25階B会議室

■共催
インターアクション・カウンシル(OBサミット)
中国国際儒学連合会

■主催
法政大学国際日本学研究所 王敏研究室

「インターアクション・カウンシル」(OBサミット)は、世界の政府要人経験者で組織されたもので、国際的な歴史を鑑として平和・協力を提唱し、戦争に反対することを目指して1982年に、福田赳夫氏と西ドイツ(当時)のシュミット氏がいずれも首相の経験に学び提唱し創設された。孔子の至言にいう「己の欲せざる所、人に施す勿かれ」を選び、世界平和のためのグローバル倫理の樹立と実践を展開した。活動の軌跡は。「人間責任宣言」を含め、当活動の一部が『世界はなぜ争うのか――国家・宗教・民族と倫理をめぐって』(朝倉書店 2016年)にまとめられている。また、イスラム、ロシア、中国など八カ国語に訳されている。

ワークショップでは冒頭の部分で、父赳夫氏と同じ首相経験者である福田康夫氏が日中平和友好条約締結40年以来の日中両国関係を背景に、「協力があって初めて地域に安定、平和、繁栄をもたらすことができ、他の国々や地域にも積極的な影響をもたらす」と語った。中国国際儒学連合会広報委員長・中国人民大学の張践教授は共催者側を代表して「どの文化も『己の欲せざる所、人に施す勿かれ』の精神さえあれば、相互の文化交流を通じて文明間の衝突を回避できましょう。この格言は国際社会の黄金律であり、現代世界の各国・民族の安全と安定にとっても参照軸だ」と指摘した。研究発表に移ると、日中の学者がさきの著書を取り上げて、平和を実践するための共通理念を再認識とすべく、平和実践の深化をめぐる考察が次々報告された。

発表は七氏。それぞれの専門分野の角度から貴重な識見が披露された。

・OBサミット事務局の渥美桂子代表「人間の責任宣言」の背景と考え方
・慶応大学の段瑞聡教授      「福田ドリンクと日中関係」
・神戸市外国語大学の秦兆雄教授  「人類学から「寛容と理解」を考える」
・京都フォーラムの呉端研究員   「新しい哲学の出発」
・亜細亜大学の範雲涛教授     「グローバル公共倫理と鑑真精神」
・別府大学の鈴木晶准教授     「平和と観光」
・中国政法大学の陳煜准教授    「公共倫理が開く未来」

この日のワークショップには南京師範大学の林敏潔教授も出席された。七氏の発表後に立たれ、南京師範大学の「中国国家社会科学基金重大項目日本民間反戦記憶袴領域研究」を紹介したうえ、本ワークショップの諸発表に注目されて諸発表が論文にまとめられれば「中国国家社会科学基金重大項目日本民間反戦記憶袴領域研究(17DA284)的階段性成果」に収録したいとの意向を示された。

【記事執筆:王敏(法政大学国際日本学研究所専任所員・教授】

2018年6月16日に開かれた「平和の実践」ワークショップの開催風景

 

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